家族がガンに・・・援助のしかた

家族の誰が、ガンにかかり、誰がその人を支えるのか、その役割は、男女差や立 場によっていろいろ変わります。
また、その年代によっても経済的負担や時間的な負担が大きく変わってきます。

一番大変なのは、患者さんとそのご家族の意見が異なる場合です。治療法1つを とっても、それぞれの意見があります。特に、ガン治療は「これで絶対大丈夫」 ということのほうが少ないわけですから、みんなが悩んで当然です。

また、代替的や補完的な治療を選択する場合は特に、双方に温度差や情報量の 差が生じて、意見の食い違いが起こりやすくなります。

ご家族の気持ちとしては、患者さんの意向を尊重したい思いと、家族がすすめる ことを行ってほしい思いとの間で揺れ動くことでしょう。
(たとえば、患者さんが抗がん剤治療をせずに代替治療でやっていきたいと言う。
しかし、家族としては病院の言う通り抗がん剤をしてほしいと思う)

こういった場合、最終的には、患者さんの意向や態度を尊重しつつ、ご家族の考 えや気持ちを伝える・・・というスタンスがいいと思われます。
(「結論は自分で出したらいいけど、これこれといった理由で、こちらの選択を したほうがいいと思っている」といったようにです)
感情的に患者さんが、ご自分の意見が受け入れられなかった・否定されたと感じ た場合、そこからはなにも生まれません。
仮に表面上で従ったとしても、無意識下で抵抗がおこり、得られる結果が少なく なったり行動に影響が出たりします。

つまり10の効果が出るはずなのに、4や5の結果だったり、治そうというモチ ベーションが低下したりするのです。
その逆もありで、自分が信じた方法であるなら、つらいことでも我慢して耐えられ 効果もでやすいということですよね。
自分が深く信じていれば、ビタミン剤でも薬のように効くというプラシーボ効果で 証明されていることです。

自分が受け入れられたと感じられれば、そこから感情の変化や他の意見の取り入れ も行えるようになります。

ご家族としては、患者さんの負担が軽くなるように、あれやこれや手を焼きたくな るでしょうが、その命を使っていく権利はその患者さんのみです。
その大前提のもとに、患者さんの意向を最優先し、あくまで意見は提案するという スタンスで援助していくのが一番だと感じています。

そして、患者さんが出した結論には全力で応援する。「そんなの効果が出るはずは ない」というような言い方や態度は出るはずの効果をダウンさせてしまいます。
結果が芳しくなくても「だから言ったでしょ」的な圧力は禁句です。その時も、 「違う手法に変える時期だと思う」というような提案にとどめておきます。

がん治療においては、これが正解!という決まった答えは、ないのです。
(情報を判断しながら)手探りでさがしつつ、その時においてベストだと思われる ものを選択していくしかありません。
その中で、手法よりも、自分がそれを信じる思いの深さやそれを尊重して応援して くれる家族の愛情のウエイトのほうが大きいのだと感じます。

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