私ががんメンタルサポートをはじめた理由

20年ほど前から、ボディケアに関心があり健康関連の仕事をしていました。
「身体の健康」という側面から、「心の健康」という側面に興味を持つことになったのは、10年前の出来事がきっかけです。

当時40歳だった主人が肝臓がんを発症したのですが、わかった時は手遅れに近く、有効な治療法がない状況でした。
しかし、子供もまだ幼く、何としてでも治ってほしいと、身体にいいものを探し求め、いろいろなことを試してみました。
その中で、見つけたのが「酵素風呂」です。

近隣の酵素風呂に通っているうちに体調がどんどんよくなっていき、もっと頻繁に利用したいと思うようになりました。
いっそ、自分たちで店を立ち上げれば、好きな時に好きなだけ利用できるし、同じようにがんで困っている方の力にもなれると考え、
「酵素風呂」を立ち上げることにしたのです。

思い返せば、近隣の酵素風呂に通っている時、主人を待っている間、その店舗においてある本を読んでいたのですが、
その中に、中村天風の「運命を拓く」という本がありました。
その時は「ふ~ん」ぐらいの感じで読んでいたのですが、その本が私を変えていく、大きなきっかけになります。

酵素風呂を立ち上げて、間もなく主人は、使命を果たしたかのように生涯を終えました。
私は主人を失った悲しみだけではなく、店舗設立の際の借金、これからの生活基盤、
店舗の経営、子供の将来・・・絶望や不安や悲嘆などいろいろな感情が渦巻き、「しっかりしなければ・・」と思えば思うほど、
身動きがとれない状態になっていきました。

このままでは、本当にヤバイことになってしまう・・何とか、自分の心を奮い立たせてくれる支えになるものが欲しい・・・と考え始めた時、
中村天風の「運命を拓く」の中に書いていた言葉・・・「心を積極的にすれば運命も健康も幸福も手にできる」を思い出しました。

天風先生は「怒るな!恐れるな!悲しむな!」と強く語られています。
自分の意志でマイナスの感情を明るい気持ちに切り替えろ!その先にいい運命や健康や成功があるというのです。
そして、そのための実践方法を教えてくれています。

その本を皮切りに、天風哲学を実践するようになり、ストレスな現状を乗り越えられる自分に変わっていくことができました。

がんの方や難病の方の力になりたいという思いもあり始めた酵素風呂で、実際にがんと向き合っている方たちと接することになりました。
酵素風呂は定期的に継続して利用されることや、マンツーマンで話ができるといった当店の環境もあり、心のうちを話してくださることも多くあります。

検査の結果が悪くつらい・再発が不安・治らないかもしれない絶望・家族に心配をかけたくないので言えないこと・・・・全部が全部ではありませんが、
自分も同じような思いをしてきたことが思い出されます。
そして、その苦悩が手にとるようにわかるので、身体だけではなく、心の部分でも何とか力になりたいと思うようになっていきました。

酵素風呂のお客様の中には、劇的に効果が出る人もいれば、そうでない方もいます。
手技療法(ボディケア)を実践しても、それを感じます。
それだけではなく、食事療法や他の療法などを試してみて効果が出たとか出なかったなどのお客様の話を聞いても、その傾向はあります。
何をしても効果が出る人と効果が現れにくい人がいるのです。

この違いは、「心の状態」が関係しているのかもしれない・・と考えました。
私がどん底の気持ちでいる時、朝、起きることも、夜、眠ることも苦痛だったのに、天風哲学の教えの通り心を変えていけば、颯爽と動けるようになった。
心の在り方が身体に変化を与えるなら、心のケアをすることで、酵素風呂はもちろん、今やっている治療の効果を高めることにつながるはず。

私は主人の闘病期間中、目の前の出来事に一喜一憂し、期待や不安や怒りなどの感情に振り回されていたけれど、
望ましい心の在り方を作ることができれば、大切な毎日の時間を有意義に使えるはず。

そのように思い、「心の在り方の大切さ」や「望ましい心の作り方」についてコーチングという形でお伝えするようになりました。

その方の気持ちが、元気・明るく・強く・前向き・希望を持って・穏やか・・となることを目指します。

その方にとって元気に、また明るく強くなれるきっかけは千差万別です。
心のうちをすべて吐き出すことがいいケースもあるし、自分のやりたいことや生きがいを見つけることがいいケースもあります。

また元気な気持ちになれても、その日限りでは意味がありません。
そのような心の状態をキープできるように、
日常の生活での言葉の選び方や考え方の癖の見直し・身体の使い方などについて元気・前向きになれる習慣を身につけていってもらいます。

ある方は、現代医学を基本的な治療法として取り入れていたのですが、病気の進行とともに治療の手立てがなくなってしまうという厳しい状況に置かれました。
病院からは緩和ケアをすすめられ、一時は、悲壮感や絶望感にあふれ、身体は生きているのに、心はまったく生きていない・・という様相でした。

そこで治療法は現代医学だけではないので、視野を広めること・身体は心の状態に左右されるから、
まずは気力を高めること・治癒ということにとらわれず、
今日明日生きるための健康力を高める意識をもって・・・といったことをベースにコーチングをさせていただきました。

その方は、元気を取り戻し、ご自身で情報を収集したり、医師にかけあったりしました。
結果、規定外ではあるけれど手術をしてもいいという医師と出会い、手術する流れができ、ひとまず、健康を取り戻すことができました。
もちろん身体を治療したのは現代医学ですが、この方の前向きな行動力があってこそ、その現実を起こすことができたのです。

がんと向き合っている方にとって、治療の結果がどうなるかというのは切実な問題です。
しかし、そこに心を奪われてしまうと、目の前の「生」を生きることができなくなります。
不安感や恐れが強くなりすぎると、身動きがとれず、自分らしく生きることができなくなります。

強い心をつくることができれば、「怖れる」ということがなくなっていきます。
すると、まだ先のわからないことを心配して、今の大切な時間を無駄に使ってしまうのはもったいない、
今日のこの時間・瞬間を大切に生きていこうという気になるのです。

強い心をつくることができれば「あきらめる」ということがなくなってきます。
こんなことで負けるような自分ではない、運命は自分で変えていくことができる、自分で自分の人生を創っていこうという気になってきます。
これらは私が実際に体験・体感してきたことです。
日常の生活においても、こういった気持ちの在り方は重要だと思うのですが、ましてや、がんという病気、命がかかった病気であればなおさら重要なはずです。

2人に1人ががんにかかる時代と言われ、治療法もどんどんと進歩していますが、「心」の部分についてはおざなりになっているのが現状だと感じています。

また、一言でがんと言っても、個人が抱える状況や背景は全く異なり、悩みは本当に人それぞれで、孤独感を感じてしまいがちなのもこの病気です。

こういった背景、そして、自分が体験してきたことを重ねあわせ、がんと向き合っている多くの方が、出来る限り、明るく元気に、
希望をもって生きていくことができるように、そして、それが健康回復の手助けとなることを願い、その方法をコーチングという形で提供しています。

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