がんに感謝できますか?
がんを克服した人の多くから、「がんになったことを感謝できるようになった」という話をききます。
だから、がんに感謝していれば治るのではないか・・・と考えますよね。
逆に感謝すればいいとわかっていながら、それができない時は、別の苦悩を生んでしまいます。
日常生活の中でも「感謝の大切さ」はよく言われることですね。
言われるまでもなく、感謝をしないよりはした方がいいとわかっています。
感謝されると、理屈抜きにして嬉しいものです。
だから、逆の立場で考えると、素直に感謝の気持ちを表現できれば、人間関係もうまくいくでしょう。
成功した人は、とにかく感謝することを習慣にしていたという話も聞きます。
誰もが大切さをわかっている「感謝」なのに、実践となると、なぜ、難しくなるのでしょう?
確かに、何かをしてもらった時・うまく事が運んだ時・調子のいい時の「感謝」は簡単です。
本当に嬉しい~という感情があるからです。
でも、目の前の出来事が自分に意に反している時はどうですか?
嫌なことがあった時、思うように事が進まない時、問題が発生した時、こんな時に「感謝」するのは、難しいですよね。
すっと感謝できる人は、天性のものなのか、訓練によるものなのかわかりませんが、その素質はうらやましい限りです。
感謝できれば、ポジティブな気持ちを即効で味わえるのですから。
がんに限ったことではありませんが、病気は、今の生活は問題がある・違う生き方をした方がいいといったことを、身体がメッセージとして伝えていると解釈できます。
また、がんの場合は、これまでの身体の毒素を一手に引き受けて塊になったと解釈すると、自分の身体を守るために「汚れ役」を引き受けてくれたものと考えられます。
そうすると、がんや病気自体は「悪いこと」「不幸なこと」ではなく、メッセージとしての働きや、自分の身体を守る働きをするための出来事の1つとなります。
そう思うことができれば、自然に「感謝」という気持ちがわいてくるでしょう。
でも、そう思えるようになるには、少し時間がかかるかもしれません。
たとえば、人間関係で傷ついている時、仕事がまったくうまくいかない時、家族でもめている時・・その渦中にいる時は気持ちに余裕がなくなります。
治療しても成果が出ない時、思うように身体が動いてくれない時、
どんどん悪くなっている時、痛みでつらい時、不安や絶望のさなかにいる時には感謝のしようなどない状況だと感じるでしょう。
ここで、がんに関して、なぜ感謝がいいのかについて少し話します。
がん細胞と正常な細胞の違いはなんだと思いますか?
正常な細胞は、自分のスペースを必ず守ります。
肝臓が、自分を主張して、胃のスペースや腸のスペースに入り込むほど大きくなることは決してありません。
一方で、がん細胞は、「どこまでも増えてかまわない」と思っている存在です。
どんどん増えて、他の臓器を圧迫したり侵入したりしても、構わずに大きくなります。
身体全体の働きのことを考えない、自己中の存在です。
つまり、全体の調和を乱し、秩序に欠けた動きをする・・というのががんなのです。
もし、家族の中の一員や、職場でのメンバーでそういう人がいたらどうすれば全体が調和するでしょう?
答えは「無条件の愛」を送ること・・です。
俗にいう「正しいこと」を教えたり、罰を与えたりしても、その人を変えることは難しいでしょう。
また、こういう風にしたら認めてあげる・・・とか、言う通りにしたら愛してあげる・・・というのは条件つきでその人を認めることになるので、これも効果薄です。
どのような存在でも、どのようなふるまいをしても、そこにいてくれるだけでOKだよという思いが、無条件です。
そのような思いを受け取っていれば、その存在は次第に、全体に調和するような形に変わってきます。
透明な水の中に、ポタっと黒のインクを落とした時、その瞬間は汚れが目立ちますが、時間とともに、全体の色に馴染んでいくのと同じです。
その「無条件の愛」に匹敵するのが「感謝」なのです。
ですから、がんがどのようなふるまいをしていようと、感謝をすることができれば、がんも、ご主人である、あなたの身体全体に調和するように性質を変えていきます。
もちろん、この時の身体の質(体質)は大事なのは言うまでもありません。
その質に調和するようになるからです。
そのために生活習慣の見直しなどが重要になってきます。
そして、時間がかかるという覚悟も必要です。
多くの場合、なかなか変わらない相手にシビレをきらしてしまい以前と同じような考え方や接し方に戻ってしまうからです。
やはり、どうしても人は「条件つき」の感謝になってしまうんですよね。
「これ以上大きくならないなら、感謝します。
痛みを出さないなら、感謝します。
こうなってくれたら感謝します。
でも、これに反するのなら、感謝はできません。
すぐにでも消えてほしいです!」という感じです。
じゃあ、どうすればいいのか・・・という話になりますよね。
その場合、2つの方法があります。
1つ目は、感謝する対象を変えるという方法
2つ目は、感謝に似た方法を使う
というものです。
1つめの感謝する対象を変える・・についてです。
繰り返しになりますが、自分を苦しめていると思っているがんに感謝することは、心理的にハードルが高くなります。
しかし、がんにむけて感謝できなくても、感謝できる対象は、周りにはふんだんにあります。
がん以外の自分の身体のさまざまなパーツ・・・目や鼻や足や手・
ちゃんと働いてくれている臓器・骨・筋肉など
自分以外の存在・・・家族・友人・ペット・仲間・大好きな人
自分を生かしてくれるいろいろなもの・・・食事・お金・医療・仕事車・洋服・・・
今の自分を活かしてくれているものを考えれば、きっときりがないでしょう。
そういったものに「感謝」するのです。
がんにむけていようが、他のものにむけていようが、自分の中に「感謝」という思いが湧いていることに変わりはありません。
そのエネルギーの中に、がんも包まれるわけですから、対象にこだわらなくてもいいのです。
2つ目の「感謝」に似た方法で代用するについてです。
「感謝」は、そのことで自分が嬉しいとか、助かったとか、得したといった気分の後なら感じやすい感情の1つです。
でも、そういった気持ちになれないのなら、感謝ではなく、「今を感じる」ことをします。
どのような気持ちでいようが、身体がどのような状態であろうがそれをそのまま感じるだけです。
胸の奥のほうがモヤモヤするな・・・とか
この痛みはトゲトゲした感じ・・あるいは押されている感じ・・
自分全体を色で表して、朝は濃いグレーの気分だったけど、今はうすいグレーの気分になった・・・
このように感じていきます。
何か行動をしているのなら、それに意識を集中させます。
これは、こうなってほしいとか、これはダメなことといった、非難や批判、予測や分析など、いっさい行わない時間を持つということです。
簡単にいうと、ほおっておく・・・となります。
(治療しないという意味ではありません)
感謝ができずに、心配や不安などのネガティブなエサを与えてしまうぐらいなら、ほおっておく方がよほどいいということです。
大事なのは、「がんに対して感謝の気持ちを送る」(もちろん、それができればベストです)ことよりも、
自分の気持ちの波動(状態)がどのようなものかということです。
方法論の1つとして「がんへの感謝」を取り入れていても、心の奥底で、がんを責める気持ちがあると、矛盾を感じて、気持ちが乱れていきます。
それよりも、純粋な気持ちで行える範囲のことをした方が、心をこめて実践でき、気持ちをニュートラルに保つことができます。
今の気持ちの状態から、「感謝」の気持ちが起こるまで、距離があるのなら
1・今の状態をそのままに認める
2・感謝しやすい対象をみつけて、そこに感謝の気持ちを送る
といった順番で取り組んでみて下さい。
そうすることで、感謝できる範囲がひろがっていきます。
そして、条件つきで「感謝」していたことが、無条件で「感謝」できるようになっていきます。
自分に正直な気持ちから、がんに対して「感謝」できるようになった
時に、がんも自己中な性質から、生命の調和を考えてくれる存在に変わっていきます。
その時、たとえ、がんが消えてしまわなくても、がんと共存していくという形をとることができます。
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