私たちは、さまざまな現象を、あたかも「そのまま」見ているつもりに
なって見ていますが、これはとても難しいことです。
「見る」ということですら、実際には見たいものを見、見たくないものは
視界にも入ってきません。
自分の信念にあうものや、それを確証付けるものを取捨選択して「見」、
自分のフィルターを通して、見たいように見ているのです。
あの人は冷たい人だ!という先入観があると、仏頂面とか愛想のない態度
とか、そういった場面は頻繁に目にするけど、誰かに親切にしている場面
にはなかなか遭遇しないのです。そして、冷たい人だという信念を強化し
ていくというパターンに入るのです。
これは、自分が正しいと常に感じていたいからです。自分が正しいと
いうことは、自分が優れていると感じられ、エゴが強化されるからです。
自分が人より目立つこと・何か特別でいられること・誰かを支配すること・
もっともっとと欲しがること・他人の間違いを浮き彫りにすること・人と
比べること・・・etc 自分と他人との間に境界を設けることがエゴなので
す。
といっても、エゴは、まったくの悪者ではなく、これがあるからこそ、頑張
る原動力になったり、自分を守ったり、強化したりすることもできます。
しかし、程度がすぎると、このエゴが、怒りや不安・羨望・ねたみなどいろ
いろなネガティブな感情を生み出してしまいます。
この感情こそが苦しみのもとであり、衝動的な言動や行動の原因になります。
ものごとが気楽に進められない・こころに波風が立つというときに、マイ
ンドフルネスの気づきを使って、自分のこころをのぞいてみると、
感情の裏側には、自分が・・・自分が・・・のこころがあるのが見えてきます。
感情のとりこになっているときはしんどいかもしれませんが、その背景にある
エゴ心をひもとくと
・自分が相手より優れていたいんだなぁ
・もっともっととまだまだ欲しがっているんだなぁ
・自分が正しいと認められたいんだ
・この承認があると、自分が完璧になってような気がするんだ
このようにエゴを溶解させることで、その気持ちが和らいでいくことに気が
つくと思います。
心の中でもやっとしていたものも、表に出てくると溶けてなくなるような
感じでしょうか。
また、このエゴ心があるために、物事の判断も自分の主観や期待が入り、
あるがままにみることができなくなりがちです。
他人のことはわかっても、自分の家族のことになると見えなくなる。まして
自分のことになるとますますわからなくなってしまうものですよね。
このエゴのフィルターをはずすことができれば、ものごとを明瞭に見、より
大局的な判断をすることができ、また知的に対応することができるようにな
ります。
つまり、渦中にはいらず、第三者的な見方・判断ができるのです。
誰でも感情が湧き出てくるのは当然ですが、そのとき、そこにエゴが隠れて
いないか少しチェックをしてみましょう。
そしてそのエゴが膨らんだり、暴走しないように上手に手なづけていきましょう。
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