自分を変えようとしても、もとに戻るのはホメオスタシス機能

ホメオスタシスという言葉・・・恒常性という意味で、身体にとってのホメオ スタシスは、身体の状態を一定に保っておこうとするメカニズムです。

体温でいえば、一日を通して少しの変化はあっても、だいたい36.5度前後で 保たれています。夏でも冬でもこの範囲ですよね。
血圧や血糖値なども一過性で変動があっても、一定の時間をおけば、いつもの 状態に戻ります。
病気やケガも同じで、身体は健康な時に戻ろうとしてくれます。

身体にとっては大変ありがたい機能のホメオスタシスですが、やっかいなことも あるのです。
それは、「自分が変わりたい・変わろうとしているとき」
こういったときにも、心理的なホメオスタシスが働いてしまいます。

つまり、これまでの自分や生活習慣や依存など、変えたいという本人の意志が強く あっても、なかなか変えることができない・・・というジレンマが起こってしまう のです。

他人や本人は「自分に甘いからだ・・・」とか「意志力が弱いから・・・」とつい 責めてしまうようになりますが、これまで数十年とかけてきた思考パターンや習慣 は自分に慣れ親しんでしまっているので、少々の意志で変わろうと試みても、やは り元の自分に戻りたがるものなのですよね。

ガンは現代では2人に1人がかかるといわれるほど、誰にでも起こりうる病気です。
生活習慣病とも言われますから、治療においては生活習慣の見直しや改善が必要に なってきます。
患者さんやご家族は情報を集めて、あれこれと対策をとり、少しでも早くいい状態 にしようと努力をされます。

身体にいいとされるものを摂り、好物をあきらめ、運動をおこない、規則正しく 睡眠をとるように心がける・・・。
ところが、検査結果が良くなり、体調も回復してくると、これらを続けるのが難し くなってくるのです。
病気をいつも意識しなければならない日常がイヤで、忘れてしまいたいという思い もあるでしょうし、前述したように、これまでの自分のままでいたいという思いも 無意識にあるでしょう。ホメオスタシスという機能によって、変わろうとしても元 に戻ろうとする作用も起こってしまうのです。

このことを知らなければ、こうしなければいけないとわかっているのに、できない 自分を責めてしまうことになります。そこに意識がいくと、ますます「できないことが得意」になってしまうので、要注意です。

できない(変えられないこと)ことの実質の影響よりも、それを責めてストレスに思うことの影響が大きいのです。
なら、いっそ変えようとしなければいいのではないか・・・と思われるかもしれま せんが、実際、それまでの生活・思考癖のもろもろの影響で身体がダメージをおって
いるのですから、それを続けていては、ダメージは大きくなりますよね・・・。

変えようとする改善策を行うことができれば、それでよし。もし、できなかった自分 がいたら、それは自分の意志が弱いからとかではなく、ホメオスタシスという機能のせいだと思うことです。
不思議なことに、できなかった自分をも受け入れていくことが、できる自分にして いくコツでもあるんですよね。

ガンを発病してしまう人は、他人にやさしく、自分のことは責めてしまうタイプの 人が多いんですよね。自分にもやさしく・・・。これを治療のベースにおいてほしいですね。

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